札幌市が自然由来ヒ素の判定方法を作成

札幌市は、上流側に定山渓温泉等のヒ素を含有するエリアがあり、自然由来のヒ素が市域の広範囲分布していることは有名な話です。
その札幌市が、自然的由来のヒ素の判定方法を作成したようです。
自然的由来の判定については、環境省通知による全国主要10都市のデータを基に作成した全国一律の判定基準を用いることが一般的です。ヒ素の場合は一つの判断基準として、全含有量が39mg/kg以下であること、としています。
しかしながら、この判断基準は、鉱山近く等の地域特性を考慮していないため、前述のヒ素の供給源がある札幌市が独自の委員会を開催して、その答申受け設定したようです。

実際には市内を北地域と南地域に分類して、値が高めに出ていた北地域では結果として、従来の39mg/kgから88mg/kgに引き上げています。

単位: mg / k g
北地域 88
南地域 39

これは以下の統計値から、判断したもののようだ。

平均(幾何) 平均+σ 平均+2σ 平均+3σ
JR函館本線以北+ 手稲区(泥炭を除く) 23.1 56.4 138.1 337.9
手稲区を除くJR函館本線以南(泥炭を除く) 12.1 26.7 59.0 130.5

地域特性を組み込んだ土壌汚染の判断として、とてもよい事例ですので読んでみてください。

こちらのページに、委員会報告書と判定基準があります。

後興味深いのは、ヒ素の全含有量と1N塩酸抽出の比較ですね。これも報告書に図面が出ています。

以下、一部抜粋。


1 本判定方法は、土壌汚染対策法に基づく調査及び自主的な調査で本市に正式に報告されたものに適用するものとする。
ヒ素の分布特性に過去の使用履歴等との関連性を示す局在性が認められないことを前提とする。
3 自然由来判定の基本は全含有量1 )とする。
4 北地域( J R 函館本線北側及び手稲区) と南地域( 手稲区を除JR 函館本線南側) の2 地域に分けて、それぞれ下記の全含有量の定基準値を設定する。
なお、本判定基準値は暫定値とし、必要に応じて見直しを行うものとする。
5 全含有量の測定が未実施の場合、「土壌含有量2 )値」に係数「1 0」を掛けたものを「推定全含有量値」とする。「推定全含有量値」が上記4の判定基準値以下である場合においては、当該土壌を自然由来と判定する。( 一次判定)
6 一次判定で自然由来と判定できなかった土壌及び始めから全含有量の測定を行っている土壌については、当該土壌の「全含有量値」で判定する。「全含有量値」が上記4 の判定基準値以下である場合においては、当該土壌を自然由来と判定する。( 二次判定)
7 二次判定までで自然由来と判定できなかった土壌については、調査対象地の平面分布、深度方向の分布、地質などを踏まえた総合的な判定を行う。( 三次判定)
8 トンネル工事等によって発生する掘削ずりについては、一般的に堅硬な岩盤を掘削したものであり、土壌汚染対策法で対象としている表層付近の土壌とは全く異質なものであることから、本判定方法の適用範囲外とする。