土壌汚染対策法 汚染土壌処理業に関する省令の一部を改正する省令が出ました。

2017年5月に交付された第一次答申を踏まえた土壌汚染対策法の一部を改正する法律における、改正法の第2段階施行に伴い必要となる省令事項が1月28日に公表され、また本日、1月29日には関係する告示が公表されました。

省令

告示

www.env.go.jp

上記の公開情報のうち、「自然由来等土壌について環境安全性を確保し、適正な管理の下を確保した上での、資源として有効利用を進めること」について、保高が読んで理解をした内容を紹介したいと思います。省令、告示の文書は難解なので、読み解き方に間違いがあったらご指摘を頂ければと思います(保高の読み解き間違いがあるかもしれません)。

16年前に研究を志したときに、しっかりと研究を進めて、土対法に物質移動評価・リスク評価の概念を導入したい、想いがありました。法律改正で研究者ができることは、その根拠となるエビデンスの積み重ねしかありません(また、エビデンスがあっても変わらないことも多々あります)。継続して研究を進め、エビデンスをためて、いろんな方と議論をして、やっとここまできたなぁ、と感じています。

この法律改正によってすぐに何かが変わるわけではありません。ただ、自然由来等土壌について環境安全性を確保し、適正な管理の下を確保した上での、資源として有効利用を進めるための第一歩かな、と思います。

では少し内容を見ていきましょう。省令のHPには以下の記載があります。

(2)汚染土壌処理業に関する省令の一部を改正する省令(別添2参照
自然由来等土壌について、適正な管理の下での資源の有効利用を図るため、自然由来等土壌の受入れを行う者が都道府県知事に処理業の許可を受け、盛土等の構造物や水面埋立てに利用することを可能にするとともに、当該許可基準及び処理基準等を規定した。

1つ目のポイントは、自然由来等土壌の資源としての有効利用は、汚染土壌処理業の許可の基準の対象となっている、つまり法律上は処理業であるとの位置づけになっていることだと思います。

そのため、具体的な内容は処理業省令の中に記載がされています。例えば、処理業省令第1条5号イでは、下記の通りの記載があります。

自然由来等土壌を土木構造物の盛土の材料その他の材料( 次条第二項第二十九号において「盛土材等」という。)とし て利用する施設(当該自然由来等土壌、特定有害物質又は特 定有害物質を含む液体の飛散、流出及び地下への浸透による 新たな地下水汚染を防止するために必要な措置が講じられた 施設であって、他の法令により維持管理を適切に行うことが 定められているものに限る。)として都道府県知事(土壌汚 染対策法施行令(平成十四年政令第三百三十六号。以下 「令」という。)第十条に規定する市にあっては、市長。以 下同じ。)が認めたもの(ロに掲げるものを除く。以下「自然由来等土壌構造物利用施設」という。

自然由来等土壌を土木構造物の盛土の材料を利用する施設は、「自然由来等土壌構造物利用施設」と名付けられています。これは、「新たな地下水汚染を防止するために必要な措置」が講じられた施設であり、「他の法令により維持管理が適切に行うことが定められた」施設である必要があります。

では、「新たな地下水汚染を防止するために必要な措置」が講じられた施設とは何でしょうか。処理業省令第4条1号トでは、以下の要件で汚染土壌処理業の許可の基準が出ると記載をされています。

自然由来等土壌利用施設のうち自然由来等土壌構造物利用施設にあっては、汚染土壌処理施設に係る事業場からの自然由来等土壌に含まれる特定有害物質を含む液体の地下への浸透による新たな地下水汚染を防止するための措置として環境大臣が定めるものが講じられていること

では、どのような土壌であれば、「自然由来等土壌に含まれる特定有害物質を含む液体の地下への浸透による新たな地下水汚染を防止するための措置」と認められるのでしょうか。

この内容は1/29に発表された環境省告示第七号に書かれています。告示第7号を読む限りは、遮水構造が必ずしも必要というわけではありません。例えば、鉛、カドミウムについては汚染状態で遮水構造の必要性を判断できる数字が記載されていたり、自然由来等土壌利用施設の土地の帯水層までの距離及び当該施設を設置する土地の土壌に係る分配係数等を勘案して、判断することになっています。

この告示の詳細な内容の紹介は、(眠いので)明日以降、別途をしたいと思います。

 

余談ですが、処理業省令第2条2号29では、自然由来等土壌利用施設では、自然由来等土壌から異物除去、自然由来等土壌の含水率の調整又は他の土壌との改良等の土質改良を、一定条件下で認めています。これは、実際に使用する際には土質改良等が必要なケースが多いことから認めているのでは、と推察をしています(ただし、汚染状態が土質改良前の汚染状態を超えないことが必要条件のようです。)。