2015年の振り返り1

2015年も残すところ8時間を切りました。2015年を振り返っていきたいと思います。振り返ると本年も色々あり、本当に多くの方にお世話になりました。

全体の感想

個人的には、(下記3.に関連)土対法に関する委員会のうち、2つの委員会に委員をさせて頂いたこと、そして、これまでの5年の研究成果の蓄積が、より良い土壌環境管理に向けた政策で役立つ可能性がありそうなことが、非常に印象的でした。

土壌汚染の合理的な措置を進めることを目的としてリスク評価の研究を初めて10年、当初とは違うソリューションの形にはなってきていますが、多くの方の努力のおかげで、少しずつ前に進んできている、という印象です。

社会実装を見据えて研究をしていても、全く出口が見えないこともあるのですが、突然、出口が見えることもあるのだな、ということを感じた次第です。昨年までは、研究成果の商品化や社会展開についてはある程度イメージができていたのですが、本年度は政策への実装という点において、新しい感覚を得ることができました。
言われ尽くしていますが、チャンス(社会実装できるタイミング)はいつ来るかわからないが、いつ来ても大丈夫なようにその準備(科学的にはしっかりとした根拠をもって説明できる)は重要だということです。

また、そのチャンスの回数を増やすためにも、やはり研究成果や考え方を関係するステークホルダー間で共有知化する作業は、意思決定において極めて重要だとの認識を強めています。

以下に、順不同で本年度の出来事を記載しております。来年度も多くの方に助けていただくことになると思います。よろしくお願い申し上げます。

1.土壌Csレビュー委員会:(4月〜6月)

2015年4月より地盤工学会内に委員会を設置して活動開始しました。勝見先生が委員長、大迫さんが副委員長、保高が幹事長を努めて取りまとめて、6月の環境省の環境回復検討会にて、レビューの内容を報告しました。
 土壌中の放射性セシウムに関する最新の知見をレビューしております。
メンバー
資料
 お忙しい中、お集まり頂きましたメンバーに感謝申し上げます。

2.地盤環境賞受賞(6月)

 福島県土木部との活動が地盤工学会の地盤環境賞を受賞しました。受賞も嬉しいのですが、福島県の方の活動が認められたことが嬉しいです。関係者の皆様、ありがとうございました。
受賞メンバー
概要
関連論文(受賞後に出版)

3.委員会委員関係

 環境省案件の委員会の委員を3件、自治体関係の委員会の委員を2件させて頂いております。
 2件が土対法関係、1件が放射性セシウム関係、2件が土壌汚染関係です。特に、土対法関係では、ここ2-3年の研究成果の蓄積が活用できる状況でして、3月まで全力を注ぐ所存です。

4.環境地盤工学シンポジウム (7月)

 7月に郡山で開催した環境地盤工学シンポジウムの幹事長的(明確な幹事長ではない。。)な仕事をしておりました。3年前の研究集会の時もそうだったのですが、学会開催の裏側の皆様の苦労がわかりました。特に査読付きプロシーディングスだったので、査読関係の時間がタイトで大変でした。
環境地盤工学シンポジウムのサイトはこちら

5.技術資料「環境放射能モニタリングのための水中の放射性セシウムの前処理法・分析法」の公開(9月)

 水中の放射性セシウムモニタリング技術資料検討委員会の1年の成果として、技術資料の公開、シンポジウムの開催を行いました。技術資料検討委員会では10名以上の方に執筆を頂き、30名以上の委員・オブザーバーの方に参画いただきました(環境省農水省原子力規制庁からも参画いただきました。)。おかげさまで非常に素晴らしい資料ができたと思います。委員長をお願いした恩田先生を始め、皆様、ありがとうございました。

技術資料のダウンロードページ
シンポジウムはこちら

 また、技術資料作成に関連して、蒸発濃縮法、AMP法、PBフィルターカートリッジ法、固相抽出法についての精度比較試験を、17機関以上にご参加いただきまして実施しました。低濃度の放射性セシウムを含む水を20L程度、先に示した前処理方法で濃縮して、比較を行いました。いずれの方法も10-100 mBq/Lレベルの低濃度でも一定レベル以上の精度が確保できており、一安心でした。ご参加頂きました皆様、暑く御礼申し上げます。
 また、シンポジウムにも約100名の方にご参加いただきました。ありがとうございました。

その他

以下の項目は新年以降に記載(多分。。)したいと思います。

6.IAEAとの連携(サンドラさん来日(1月)、IAEA訪問(6月)、ALMERA会議参加(9月))
7.東京都と持続可能な土壌汚染対策ガイドライン 公開(3月)
8. ISO-TC190 TS21268-3のアップグレードリーダとしての活動
9.執筆活動について:査読付き論文3報、査読無し論説3報公開
10.溶出試験の新たな展開の開始(3月)
11.地盤環境社会実装委員会委員会の開始(6月より)
12.減容化技術WGの活動(通年)
13.宮津さん就職(4月)
14.ICRP会議と山木屋での新たな動き(9月以降)
15.2015年の招待講演の自己分析