年始め

あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。
昨年度を振り返りながら、本年度も始動したいと思います。

1.論文

昨年、出版された論文数です。

  • 査読付き論文(英語);第一著者 1報
  • 査読付き論文(英語);責任著者 3報(第一著者除く)
  • 査読付き論文(日本語);上記以外 0報
  • 査読付き論文(日本語);第一著者 0報
  • 査読付き論文(日本語);責任著者 1報 
  • 査読付き論文(日本語);上記以外 1報

で、計6報と少なめでした。
分野別では

  • 水中の放射性Csのモニタリング手法 2報
  • 水中の放射性Csの環境動態評価 1報
  • 河川水の放射性Csの環境動態予測シミュレーション 1報
  • 放射性Csの植物への移行評価 1報
  • 重金属汚染土壌のカラム試験の標準化 1報

来年はもう少し頑張らねば。
詳細はこちら
 

2.ISO-TC190関係

本年、はじめてISO-TC190 at ベルリンに参加しました。
SC7-WG6 Leaching test において、ISO-TS21268-3、Upflow - percolation test(上向流カラム試験)の標準化に関して、日本が主導的な役割を果たし、ドイツと連携を取りながら3年間かけてISO化をはかることになりました。保高がこのプロジェクトのリーダーを務めることになりました。将来的には、カラム試験だけでなく、シリアルバッチ試験、逐次抽出試験などの標準化を進めていければ良いと考えております。
新年早々、国内17機関によるラウンドロビン試験の第一弾を開始する予定です。関係者の皆様、よろしくお願い申し上げます。
なぜ、カラム試験の標準化を図るのか、という部分については、7.とも関連があるのですが、また別の機会に書きたいと思います。

3.水中の放射性Csのモニタリング手法の標準化

2013年下期より水中の放射性Csのモニタリング手法の標準化に関する研究会および委員会を立ち上げました。保高は事務局として、これまで、研究会を3回、検討委員会を2回開催しまして、ラウンドロビン試験の実施、技術資料の作成を進めております。
検討委員会の方では、これまた17の研究機関に参加いただきまして、議論を進めているところです。委員長には筑波大恩田先生、副委員長には国環研林先生にお願いをしております。
主に、低濃度の溶存態の放射性セシウムのモニタリング手法の標準化として、蒸発濃縮法、蒸発乾固法、AMP法、固相抽出法、カートリッジフィルター法の方法の精度比較等を実施しております。今回は、環境水を1.5m3、0.45μmのメンブレンフィルターで濾過を実施して、各機関に配布ました(3日間)。こんなに濾過をする機会、もう無いかもしれません。
本年6月頃までには色々と公開できるかと思います。
委員会関連の皆様、本年もよろしくお願いいたします。

4.基盤Aの研究開始

2014年4月に科研費の基盤Aに保高が代表を務める「除染・帰還を見据えた地域別の放射性Cs流出特性評価とリスク管理戦略の構築」が採択され、研究を開始しました。
京都大学 中村公人先生、福島大学 塚田祥文先生、東京大学 村上道夫先生、新潟大学 吉川夏樹先生、岐阜大学 大西健夫先生に分担研究者として参画いただいております。
JSTの先端プロで開発したモニタリング手法をベースに、多地点の低濃度モニタリングと環境動態モデリング、流出係数の推定、リスク評価の実施などがテーマとなっております。
恩田先生や国環研さん、JAEAさんが実施されているモニタリングとは重複しないよう、テーマを絞って研究を推進しております。
本年から色々成果が出てくるはず。。。。。。(多分)。関係者の皆様、よろしくお願いいたします。

5.水中の放射性Csのモニタリング手法の高度化、汎用化

本年はじめに亜鉛置換体プルシアンブルー不織布カートリッジのプレスリリースを行い、共同研究を実施している研究機関向けに販売を開始しました。
http://www.jst.go.jp/pr/announce/20140407-2/
この方法は20Lの水中の溶存態放射性セシウムをわずか8分で濃縮できる、というのが大きな特徴です。既に6つの研究機関において実モニタリングで使用して頂いております。

6.除染の費用と効果に関する研究

昨年は私の研究課題は少しお休み気味でしたが、除染プロジェクトのメンバーだった内藤航さんや中西先生が次々と有用な成果[http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/tohokujisin/fukushima_report/list/CK2014080502000186.html]、意見を発信されておられました。除染プロジェクトは、ある意味発展的解消をした状況だと思っています。
 保高の方は、昨年度は次の課題解決に向けた研究推進に向けた下準備を実施してきました。本年度は除染廃棄物の減容化の必要性やコストに関する議論の土台を提供できるよう、そして施策の意思決定に役立てられるよう、研究を推進にしたいと考えております。よろしくお願いいたします。
除染の費用と効果:

7.地盤環境戦略Gの開始

重金属類含有土壌・岩への対応として、9月頃からいくつかのプロジェクト、会議を立ち上げました。保高としては12年前からの問題意識を解決できる可能性があるプロジェクトだと思っています。
重要なポイントは、以下の3つだと考えております。

  • 科学的なエビデンスの整理と議論による関係者の現状の共有
  • 上記に基づいた重要課題への多機関連携による研究の集中
  • 研究成果の社会実装の同時推進

5年以上かかるプロジェクトかもしれません。本年度は、この活動を軌道にのせていくことが大きなタスクになります。関係者の皆様、どうぞよろしくお願いいたします。

8.チーム動向

昨年4月、5月に保高のもとでポスドクを努めて頂いていた辻さん、中村さんが旅立ちました。辻さんは、共同研究をしていた国環研の林誠二さんの研究室に、中村さんは、東北大の駒井先生の研究室にそれぞれ赴任されました。お二人ともと、その後も共同でいろいろな試験・研究をさせていただております。
昨年4月からは、新潟大より宮津さんがポスドクとして加入され、農水省先端プロ、科研費基盤Aなどに取り組んでいただいております。また、テクニカルスタッフの皆様には、不在がちな保高のサポート、無茶ぶり対応を含め、大変お世話になりました。皆様なしでは研究は推進できません。
本年も引き続き、よろしくお願いいたします。

9.横国大授業

一昨年度から横国大の環境理工学部で地盤環境工学の授業を後期に15コマ?させて頂いております。講演や単発講義、社会人向けの授業と違って、色んな意味で新鮮な経験です。教育をする、って大変ですね(自分の学生の時を振り返ると、そりゃそうなのですが)。

10.ワークライフバランス

年を取りました。徹夜もできなくなり(いつの間にか寝てしまう。)、物理的に首が回らなくなり、キーボードを叩いていると指がつるようになり、そして子どもとオセロをして完敗するようになりました。
また、年間100日以上出張をしていると、移動中のパソコン仕事が辛くなってきました。今年も福島を中心に飛び回ると思います。
本年度は、自分の能力・体力は下がる前提で、仕事の質を上げ、量は維持して、仕事時間を減らす、という課題に取り組みたいと思います(そんなこと出来るのか。。。。)。
ということで、本年もよろしくお願いいたします。