放射性セシウム汚染土壌・廃棄物の減容化オプション評価

NHKの放送

下記の番組に情報提供、取材を受けました。色々要請があったので、検討・情報提供をしていたのですが、我々の結果は放送されなかったようです。

そのため、この番組に出てくる費用は、我々の研究成果とは関係がないと思います(番組を見ていないのでなんとも言えませんが、NHKの方からはそう聞きました)。

これは、震災後経験したよくあるパターンなので、この事自体はあまり気にならないのですが、このようなことが多くなると、(報道機関からの取材に対して)エフォートを割かなくなったり、取材を受ける前に色々確認をしたりするんだろうな、と思いました。

10月17日(金)8:00 PM〜8:43 PM
NHK仙台サンドウィッチマンのどうなってる?」
*宮城・青森・岩手・秋田・福島向けの放送。「原発事故の汚染物」と題して、原発事故によって放射性物質に汚染された土壌や廃棄物などの処分にどう取り組んでいけばよいかを考える番組で、番組制作にあたり、福島県内における除染〜中間貯蔵までの費用の試算について取材協力しました。再放送は、10月18日(土)10:05 AM〜10:48 AM。

放射性セシウム汚染土壌の減容化オプションについて

上の話はおいておきまして、少しこの話をします。

放射性セシウム含有土壌の減容化技術は、大きく分類して分級(細かい粒子と荒い粒子を分類する方法)と抽出(土壌から放射性セシウムを取り出す方法)の2種類です。抽出は、酸抽出と高温熱処理法(呼び方は様々)が検討されています。
放射性セシウムは、自己崩壊以外能が減少しないので、バイオレメディエーション等生物分解は当然適用できません。

放射性セシウム汚染土壌・廃棄物の減容化については、減容化率、技術成熟度、コスト、社会受容性など、多くの指標があります。減容化を行うことで、体積は減りますが、濃度は当然上がります。減容化の方法によっては、放射性セシウムの水溶出率も上昇する場合もあります。

減容化技術を評価する際には、以下の4項目が重要になります。

  1. 技術評価 :減容化率、再資源化率、コスト、適用可能な濃度レベル・土質の整理
  2. 浄化土壌の有効利用可能性評価:性状・用途・法令
  3. 濃縮物の性状評価:溶出特性・濃縮率
  4. 減容化の適用性・必要性の検討

などが必要となります。


図 地盤工学会東日本大震災調査研究委員会 地盤架橋研究委員会のTF内で議論・整理の結果

土壌減容化技術の適用に際しては、減容化技術の減容化率、再資源化率、コスト、適用可能な土壌性質、適用可能な濃度レベルと言った技術的な内容だけでなく、浄化土壌の有効利用先、濃縮物の性状(放射性セシウムの溶出特性)を鑑みて、判断する必要があります。
結果として、土壌の性質や濃度に応じて、「減容化を適用しない土壌」、「減容化技術1を適用する土壌」、「減容化技術2を適用する土壌」等、土壌の性状や濃度に応じて異なる対応になる可能性があります。
また、各技術(適用しないことも含め)により社会受容性が異なると考えられるため、その部分の対応も重要です。(最適解について、社会受容性があるとは限らない)。

これらの内容については、多くの方の意見を元に作成しています。NHKの方にお話したり、講演でも話をしている内容ですが、具体的な方法毎にメリット・デメリットについては、近いうちにまとめてたいと思います。