土壌汚染の問題点とはなんだろう,なんて考えてみる。

先週木曜日,産総研で開かれた産技連の講演会にお呼ばれして「土壌汚染の将来の社会経済的な影響の評価への取り組み」と題して話をしてきました。土壌汚染に関連する人がそんなに多くない,という話なので,既存の事例をとりあげつつ,ブラウンフィールドの話もさせていただきました。
そんななか,最近,投稿が完了したMedmar論文でも自問自答していたこともあり,土壌汚染問題について,なにが今後問題になりそうなのか,ということをじっくりと考えました。
昔と同じ話の繰り返しかもしれませんが。。。

個別のサイト,事業者への影響

一つは,個別サイト,個別企業,自治体への影響です。
土壌汚染地のトラブルや掘削除去への偏重による経済的な損失,企業経営(特に個人企業)への影響は大きな問題です。これは現状の施策,不動産における土壌汚染に対する考え方が同じであれば,今後しばらくの間(数十年以上)も今と同じ速度で続いていくと想定しています。
具体的には,毎年500億から1000億円程度の土壌汚染対策費用の負担が発生し,それを企業や自治体,国が負担をする,ということです。この金額が大きいか,小さいかは別として,その大部分が環境リスクが低い汚染,という点は大きな課題です。

地域社会への影響は?

一方,僕も研究対象としているブラウンフィールド,つまり土壌汚染に起因する地域社会への影響はどうなのでしょう。
一昨年イギリス,マンチェスターに行き,さらに先月,イギリスのブラウンフィールドの研究者と話していて,さらに都市計画の人たちと話をしていると,日本では,ブラウンフィールドは発生するかもしれないけれども,欧米で起こっているような社会的な問題にはならない,もしくは他の大きな要因による社会的変化の中で目立たなくなるのではないか?という疑問があります。以下に幾つかの疑問を示します。
・治安の悪化:日本では,低未利用地の増加で治安の悪化が起こるのか?というところは僕の中ではかなり疑問です。マンチェスターのそういうところは本当に危険を感じるのですが,日本ではどうなのでしょう
自治体の雇用・税収の悪化:そもそも社会的な背景として日本全体から製造業の事業所は減少しており,かつ人口も減少していく,と言う状況では,土壌汚染が存在する土地であろうがなかろうが,未利用となる土地は多いのではないか?
・イギリスは住宅地が不足しているため,ブラウンフィールドを住宅へ,というインセンティブがありますが,日本の空き家率は2008年の段階で既に13%にも達しています。その意味でも,ブラウンフィールドを住宅地にする,というインセンティブは政策的には無い可能性もあります。

このあたり答えは出ていませんので,,今後の研究課題の一つ,としていきたいと考えています。